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2005年08月06日

第2回 株式会社 三田商会 代表取締役 三田 望 様 

mita1.jpg 株式会社 三田商会 代表取締役 三田 望 様
昭和20年満州生まれ。
満州引揚後中学2年まで東京神奈川で過ごす。父親は満州からの引揚家族のお世話を無償で継続、使命感からくる無償の行動を見て育ったことが後の生き方に色濃く反映される。
昭和33年、父の実家花巻に一家で引越し、ガソリンスタンド経営をスタート。わずか3年で父を亡くし女手ひとつで家業を切盛りする母を見て早くから後継者としての自覚をもつ。大学卒業と同時に経営に参画し、昭和62年代表取締役に就任。
平成3年にはスタンドの全面改装及び併設して「私の部屋」開業、平成5年には「ノースポイント」の開業と異業種進出も含め事業を拡大。自他とも認める「ワンマン経営」だったが、青年会議所とロータリークラブのプログラムに応募し5週間渡米。人生観が変わる転機となる。
帰国後は教育委員、知的障害者施設の運営、等社会活動を積極的に行なう。自身が変化することで事業システムも社員も大きく変化を遂げることを実感。 社員数も4名から20数名となり、朝礼をはじめとする諸制度を導入しながら経営理念を次世代につないでいる。
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■ 「ワンマン経営」が転機をむかえたのはなぜ?

さゆり ご自身「ワンマン経営」だったとおっしゃいますが当時どんな社長でしたか?
三田 親父が死んでからお袋が社長で切盛りしてきたんだけど、大学卒業したら当然家業を継ぐつもりで在学中からガソリンスタンドでアルバイトしてきた。 大学4年のとき、スタンド改装工事を始めて準備したよ。戻ってきてまずそれまでいた従業員をすべて切って総入れ替えした。 商売はテクニックがあれば上手く行くと考えていたんだね、自分と同じように何故できないんだ、もっと能力をあげろという気持ちで毎日朝6時から11時まで真っ黒になって働いた。 社員はたまったもんじゃないよね。
さゆり 最初から社長に就任したのですか?
三田 ううん俺は専務だったの。でも社長(母)は黙っていたね。 何か言ったのかもしれないけど聞かなかったのかもしれない。(笑)随分ハラハラしたと思うよ。
さゆり お母さんはよく黙っていられましたね。
三田 うん、信頼してくれてたんだと思うよ。
さゆり それが変わる転機になったのが32歳の渡米。
三田 そう、どうしても行きたかったから、今まで全部自分がかかわらないと気がすまなかった会社の権限を1年かけて社員に割り振るようにした。
さゆり 10年間の方法を変えるということはよっぽどだと思うのですが、そこまでして何故渡米したのですか?
三田 自分をもっと成長させたい。商売だけの人間にとどまりたくないという気持ちが強かった。 親父が遺言で母親に「望を商売だけしかできない人間にしないように頼む」といっていたと後から知ったしね。 親父は、満州引揚げ後もずっと他の引揚げ家族の世話をしていて、ガソリンスタンドの経営を軌道に載せたらまた東京に戻りたい、お世話を再開したいと思っていた人だから。 実際、アメリカに行ってみて見聞したものがすべて栄養になったね。人生観ががらっと変った。 戻ってから青年会議所の活動を皮切りに、話が来たものは断わらず引き受けるようになった。いろんな機会を逃さないようになったね。
さゆり ご自身が変わられてから会社に何か変化がありましたか?
三田 それはもう数限りなくあります。見えなかったものが見えてきたし、社員の見方も変ってきた。 社員はみな向上心がある、経営者というのはそれに火をつける役なんだとわかってきた。 今まで自分は社長にはなっていたけど経営者にはなっていなかったんだね。

■「ガソリンスタンド」になぜ「雑貨屋」と「アンティーク家具」?

さゆり 平成3年にガソリンスタンドの大改装とあわせて「私の部屋」を開業しましたよね? 花巻にもやっとおしゃれな雑貨屋さんができてすごくうれしかったのを覚えていますが、どうして雑貨屋さんだったのか、そのあたりの経緯を教えていただけますか?
三田 決して儲けのためだけではないね。やりたかったからやったとしかいいようがない。 夢を求めてガソリンスタンドに来てほしいと思ったから。それにはどんな店舗がいいかといろんな店を検討してみたけどどれもピンとこない。 その時誠山房で「私の部屋」の本を見た。おかしいね、雑誌を見てすごくわくわくしたんだよね。男なのに!(笑) 早速自由が丘の本店にいってフランチャイズの申込みに単身のりこんだんだ。
さゆり すんなり話がきまったのでしょうか?
三田 とんでもない(笑)約束も忘れられてたし、すでに数社が順番まちだということでその日は商談にならずに戻ってきたよ。
さゆり ひどい!後から当然謝罪があったんですよね?
三田 謝罪の電話は来たけど、もう一度上京してくれというんだ。こちらがどこまで本気なのか確認の意味もあったんだね。 うちの店は20坪しかないし、ガソリンスタンドとの併設店舗はまだなかったから向こうも慎重でね。ある日社長自ら自分の目で調査したいと花巻に来てね。 そしたら花巻の人はセンスがいいし、こういった店に飢えていると思うからやってみたらと許可がおりたんだ。
さゆり 当ってますね。みんなそうだったと思います。すぐ繁盛しましたよね?
三田 初年度から順調に売上を伸ばして2年後には全国で売上トップになったんだ。今でも3~4位はキープしているよ。 しかも、今フランチャイズの条件は40坪以上になっているし、「花巻店の売上は例外です」と言われるまでになった。
さゆり 全国でトップだったんですか。そこまでとは思いませんでした。 さらにアンティーク家具の輸入販売に踏みきったのはどうしてですか?
三田 「私の部屋」を開業してから雑貨の勉強はかなりやったよ。その時東京の「ギフトショー」でアンティーク家具と出会ってね。 いや~これを宮澤賢治のふるさとで展開したい!と思っちゃって。
さゆり アンティーク家具については知識はあったのでしょうか?
三田 ないよ。どこで卸すのか買うのかもわからない。(笑) 調べていくうちにイギリスだということになって通訳の人と2人買付けにいったんだ。 1週間、ロンドンを歩き回ったんだけど、小売店は沢山あるんだけど仕入先がわからない。 そうこうしているうちに帰国の2日前、偶然アンテナショップを発見したんだね。 ここだ!っていうんでそこに出向いたら「もうアンテナショップはたたもう」と思ってるというんだ。 こちらの仕入れたいという希望とぴったりあってそこで買付けすることができた。ものすごいタイミングだったねぇ。
さゆり 仕入れ先が見つかるというあてもなく渡英したということですよね? ちょっとタイミングがずれたら、出会えなかったんですよね、うーん。(笑) こちらのご商売は未経験だったのに不安はなかったのでしょうか?
三田 ガソリンも雑貨もアンティークも「商売」というくくりでは同じなんだよ。

■ 商売、経営の醍醐味はなんですか?

三田 あのね、お店に来たお客さんが「おたくの社長ってこういう人じゃない?」っていってたってスタッフから聞くことがあるの。 「こういうところにこだわるお店ってことは、こういうセンスでこんな性格の人じゃないか」って言うらしいんだ。 ちゃんと商品やお店を通じて伝えたいことが伝わるところがおもしろいねえ。
さゆり コンセプトがきちんと理解してもらえた瞬間ですよね。もうやめられないって感じですか?
三田 やめられないねえ。商売は楽しいねえ。
mita1.jpg 「やめられないねぇ。楽しいねえ。」と語る三田社長の満面の笑顔が強く印象に残りました。こういう社長のもとで働く社員もやりがいあって「楽しいねえ」と笑えるのでしょうね。使命感あふれるお父さまの生き方が、三田社長のバックボーンを強く支えていると感じます。お父様の母校である盛岡中学(現在の盛岡一校)の入学が決まったらすごく喜んでくださったそうです。汽車で付き添い、帰りに映画に連れて行ってくださったお父様は3ヶ月後他界してしまいました。それだけが唯一の親孝行だったと淡々と語ってくださった三田社長。お父様はきっと、今ご立派になられた三田社長を相変わらず喜んで見守ってくださっているはず。お父様の名前を一字いただいたお孫さんの成長も楽しみに加わって、ますますのご活躍が期待されますね。どうもありがとうございました。

投稿者 bcac : 2005年08月06日 10:10

コメント

取材に同行いたしましたBCAC瀬川です。二時間近くにわたりお話をしてくださりありがとうございました。「同じ話をしても人それぞれ受け取る部分が違う」とおっしゃってらしたのが印象的でした。今の私には「自分のために儲けようとしたら辛くなる」という言葉が沁みました。

投稿者 BCAC瀬川 : 2005年08月05日 19:44

瀬川さんのコメントに大層共感いたしました。この言葉に三田さまのお人柄が端的に感じられます。今の時代は偽善すらもお金儲けになり得ますからね。自戒を込めて肝に銘じさせていただきます。

投稿者 Ferry : 2005年08月10日 01:45

今朝、三田さまとお会いしたら頭を丸めていらっしゃいました。
どのような心境なのかもっとお話ししたかったのですが
時間がなくて残念無念!
それから、皆さんが三田さまに紹介して戴いた本がとても素晴らしく毎日元気になったとおっしゃいます。
早く読みたい!タイトルわかったらここでもご紹介いたします。

投稿者 さゆり : 2005年08月25日 08:54

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